郊外に建つ農家の住宅。エネルギーをゆくゆくはゼロにするという目標を持ちながら計畫したこの建物は、高いスペックを確保しながら解放感のある空間が魅力である。ブラックとワインレッドの目を引く外観は既存の農作業場と揃えて連続性を持たせている。そこにあった風景が一変しないよう改築した住宅は位置や形狀を極力変えないことした。南側に開いた大きな窓と外付のブラインドは季節を室內に取り込むための可変裝置となっている。國産の木製窓はU値0.79W/㎡Kと世界トップレベルの性能値。杉の枠は損失を抑えた控えめなディティールが美しい。玄関を入ると土間、吹抜、小上りの居間まで一続きになった大空間は木材と大谷石と漆喰で構成され、落ち著いた色調ながら軽さのある気軽な雰囲気が心地良い。北から吹き付ける強風に物ともしない強固な住まいとなった。